―最後のリアル・ランチア―

1972 LANCIA FULVIA MONTECALRO 1.3S


憧れのクルマであったランチア・フルビアを存外にリーズナブルな価格で入手した。
これはグレードがシリーズ2の1,3モンテカルロという、どちらかといえばあまり人気のない下位グレードである事も大きな理由のひとつだと思う。
現にシリーズ1のでっかいヘッドライトを持つ、1,6HFファナローネは完全にコレクターズアイテムで現地イタリアでもかなり高価らしい。
だが、フルビアは1,3でも十分に雰囲気が味わえる優れたクルマだ。いや、むしろパワーを使い切る爽快感は1300ならではのものだろう。そして鼻先が軽い事から来る優れたハンドリング、横置きFFでは決して得られないダイレクトなシフトフィールは幸いなことにどのグレードでも共通だ。そして、見よ!バンパーを外したこの精悍な姿を。ランチア・フルビアは古今東西のクルマの中でも、バンパーを取った姿が格好良い事にかけては一、二を争うと思うんだがどうだろう。

1967年にデビューしたフルビアクーペは1,3、1,6それぞれに高性能なHFなど追加していき、ラリーの活躍もあって名声を高めていく。最大の転機は1969年、ランチアが経営不振からフィアットに吸収されたことに始まる。この時以来、あまりにも理想主義的でコストを考えないランチアの製品に対してフィアットなりの合理化政策が取られて行くのだ。
これを反映してフルビアは1970年マイナーチェンジを行い、シリーズ2に進化する。
私のクルマもシリーズ2なのだがデイテールを見るにつけ、各部品の合理化、そして一般向けになった操作系などに、理想を追うことのみを考えることできた60年代と、コスト管理と合理化を押し進めた70年代の差異を感じざるをえない。
しかし、悪いことばかりではない。特に機関部品に関して、フィアットの製品管理はランチアより遙かに厳しく、機械としての信頼性、耐久性は独立ランチア時代よりも大幅に向上しているという。
この事実と部品入手のたやすさもあって、現代において、シリーズ2フルビアはシリーズ1より遙かに保持管理が楽だという。

という事はいつかはシリーズ1と思うより、シリーズ2に手を入れて乗った方が良いということです。

私の理想とするフルビアは、やはり当時のワークスカーだ。
写真は1971年モンテカルロラリーにて。ドライバーはハリー・カールストローム、シモ・ランピネン。

1972年のモンテカルロラリーでランチアフルビアが悲願の優勝を果たした。
これを記念して作られたグレードがフルビアクーペモンテカルロだ。外観はワークスフルビアよろしくバンパーなしのフラットブラックのボンネット、おまけにビタローニのミラーと実に大人げない事になっているが、これでノーマル仕様なんだから全くイタ公には恐れいる。
イタリアでは当時、小僧どもが競って、こいつでサンドロ・ムナーリをきどって峠を攻めまくった(と思うんだが)1972年はメイクスタイトルを取るなどランチアにとって最良の年だった。
これが後のストラトスの快進撃につながる。


エクステリアについて

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