アルファロメオジュリアTIを買って半年ほど後の事。同じ店から程度の良いジュリア・スーパーを輸入しましたとの情報が入った。

その頃私は、同じアルファロメオのジュリアTIに乗っていた。しかし、質素な内装と大人しいエンジン音を、これはアルファロメオじゃないよと友人に揶揄されて、実用的な欧州車の良さがわからんのかと反発しながらも、少しだけ傷ついていた。

そんな時にこの話が舞い込んできたのである。まあ、ひやかしがてら、クルマだけでも見てみるかと出掛けたのがまずかった。

クルマはショップのガレージ奧に大切に保管されていた。

いかにもイタリア車らしい雰囲気の内側の小さい4灯ライトはジュリア・スーパーの証だ。室内に入るとスポーティなウッド風ステアリングのスポークが暗闇の中でキラリと光った。ズラリと並んだ大径の計器類はメッキの縁が輝いている。ベーシックなジュリアTIとは全く違うゴージャスでスポーティな雰囲気に私は魅せられてしまった。

はやる気持ちを抑えながら、エンジンキイをひねった。少しぐずりながらも、ウエーバーの大径キャブを2つ備えたツインカムエンジンは、咆吼と呼ぶに相応しいサウンドをガレージいっぱいに響かせる。

私は自分の脳内の理性がトロトロ溶けていくのを感じ取った。ああ〜、もう僕は駄目だあ〜。

さて、左の写真は私のクルマがまだイタリアにあった頃の写真。ミラノの古いタイプのナンバーが付いている。

やはりイタリアのクルマはイタリアのナンバー、イタリアの景色がとても良く似合う。後ろの犬がいい味を出している。

このジュリアスーパーは1972年式。ジュリアスーパーからジュリア1,6スーパーと名称が変わる直前のクルマだ。

どこが違うかと言うと後者は1300のボデイがベースになった、つまりコストダウンしたという事らしい。

ボンネットヒンジの形式が簡略化されたり、モールディングが少なくなった事などでそれとわかる。

この頃のアルファロメオの年式の見分け方として、例の、蛇に十字のエンブレムにミラノの文字が入っているか否かというのもある。

エンブレムにミラノの文字が抜けていれば、北のナポリにアルファスッドの専門工場を作った72年以降の生産という事になる訳だ。

私のクルマはフロントのエンブレムはミラノの文字が入っており、トランクのエンブレムはその表記はなかった。

つまり、工場のラインを通っている途中でナポリ工場ができたという非常にレアなモデルという事がわかる(嘘)