アルピーヌの代車にジャン氏が旧型ルーテシアを借りてきた。走行2万強の極上車である。早速試乗させてもらうことにする。しめしめ。 スタイルはちょっと癖があってなかなか好ましい。デザイン的にはプジョー206の方が個性があるのだがあれはストーリアとかヴィッツにデザインテイストが近いので、かえってルーテシアの方が新鮮に思えるのだ。淡いブルーのボデイカラーとインテリアも良い色合いだ。でも所詮は最近のクルマだからそれ程個性はないだろうな、やっぱり古いクルマにゃかなわんよなとたかをくくってハンドルを握った。ところがいいんだわ、これが。 下野康史氏がNAVIに掲載したシトロエンAXのインプレで、ハンドルを握って数十メートルで自分はこれを買うなと実感したという下りがあったが、私のルーテシアに対する印象もそれに近いものがあった。はじめの交差点を曲がった時にこれはとても良いクルマだ!と実感したのだ。なんと言うか、大衆車の筈なのにその走りに微塵も安っぽさがない。乗り心地もフランス車の伝統を受け継いでいてなんとも良い感じ。そしてなんと言ってもシートの出来がよい。安い国産車に長時間乗っていると感じる、あの背中と腰の妙な疲労感は本当に厭なものだがルーテシアにはそれがない。腰痛に悩まされている食わず嫌いの国産車のオーナーは頼むから一度ルノーに乗ってみてよという感じ。 これは本気でアシに欲しくなった。そう思いつつ試乗を終えて自分のDSのシートに収まった。ルーテシアに乗った後ではあれ程スムースに思えたDSの挙動がやたらギクシャクしたものに思えて妙にクルマが古くさく思えた。これはやばい。ルーテシアは良すぎるのだ。 |