DSのバリエーション1970s


ここで74年前後のDSのグレードを説明すると一番簡素なのがDスペシャル、その次がDスーパーで、ここまでは初期型ではIDと呼ばれていた例の半自動のシフトが付かない普及型だ。その上がいわゆる只のDSで一番豪華なのがDSパラス。ごく少数だがプレステージというVIPが乗る仕様もある。

現存しているDSはパラスが最も多く、次はDスーパーやスペシャルで只のDSは比較的少ないそうだ。

エンジン形式は2000cc、2300cc、キャブレーターに機械式のインジェクションが存在する。シフトは油圧の半自動クラッチの他、5速マニュアルそれにボルグワーナー製のオートマチックも加わる。これらがかけ合わさるのだから膨大なバリエーションになるのがお分かりいただけるだろう。

当時の日本への正規輸入は豪華仕様のパラスの半自動クラッチ付きが多いようだ。(当時の価格表は意外に多くのグレードが載ってはいるが)だから日本ではマニュアルのDSの存在すらあまり知られていない。

下の写真はいずれも70年型カタログによる。

Dスペシャル。小さなホイルキャップとビニールレザーシート、簡素な内張りが特徴。70年式は細身のステアリングホイールが付く。英国仕様なので右ハンドル。

DS。この年から採用になった3連メーターのダッシュボードはシトロエンの常識から言えばかなりおとなしいものだ。派手な内装色が魅力的。

DSパラス。サイドモールとフルトリムのドア内張りを持つ。このジャージー張りのシートは座った人は皆驚く程、ふかふかだ。サイドステップにも豪華なステンレスのパネルが貼ってあって、磨いているととても嬉しい気持ちになる。



70年前後のDスーパー。フランス読みでDシュペール。外観での最終型との識別点はドアハンドルの形状のみ。サイドモールのないスタイルは実にプレーンで美しい。

74年最終期に近いDS。ドアハンドルはGSと共通部品の埋め込み式のものに変更された。これがアンチモかなにかの素材らしくブツブツと錆が浮くことが多い。

写真では分からないがフロントウィンカー、ヘッドライトモールも72年前後からステイールからプラステックにメッキを施したものに変わっている。DSと言えど着実にコストダウンされているのだ。

最終型75年のDS23パラスインジェクション。サイドモールとパラス専用のホイルキャップが付く。色は最終型で良く見られるBrun Scarabee。コガネムシの茶色という事だろうか。この年500台余りを生産してDSはCXに後を託す。

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