昭和42年式のマツダキャロル。カーセンサーの広告で見つけて(どうも私が見つけてあおったような気もするが…)千葉の佐原まではるばる見にいって決めてしまった根無し草氏である。
納車の日、佐原から京葉道路を使って八王子まで帰るので一緒に行ってくれという。無謀にもアンダーパワーで名高いキャロルを運転して100キロ以上の道のりを高速道路で帰るというのか?!
丁重にお断りしたかったが、購入をあおり立てた手前それもかなわず同行することになってしまった。ああ、なんまいだぶ。
不安のあるタイヤを新品に替え、勇躍出発。しかし、やはりトラブルは起こった。
冷却ファンのカバーが走行中に外れ、大音響を立てたのだ。走行に特に支障はなかったが、日も暮れてきたので大事を取ることにした。たまたま近くにあったk氏友人宅に一泊し、翌日改めて出発。全てのパーキングエリアで休憩を取り70キロほどで慎重に走り何とか無事に帰ってきた時は心底ホッとした。

で、このキャロル、困ったことにマフラーからの白煙の量が尋常でない。後続車が全く見えなくなる程、モクモクと威勢良く白煙を吐いた。たなびく白煙で1キロ先からでもキャロルが来たぞとわかる程だった。
どうやらオイル上がりを起こしていたようである。馴染みの整備工場でオーバーホールしてもらうが、よく部品があったものだ。

このクルマを当時、私が乗っていたスバルと比較すると、走行性能に限っては間違いなくスバルの圧勝だ。
しかしキャロルは4気筒エンジンならではのなめらかで高級なフィーリングがある。
ボデイの作りにしてもそうだ。スバルは軽量化を第一に考えた構造なので、当然ながら高級感とは無縁だ。
対してキャロルはクルマらしさ、所有する喜びを主眼に置いてボデイを作ったように思える。現代に至るまでここまで全ての面で、高級さを目指して作られた軽自動車は存在しないと思う。まあ、おかげでボデイは重くなり、アンダーパワーなエンジンの更なる足かせとなってしまったのだが。それこそキャロルの持ち味であり個性というものだろう。同じ360CCで3メートル以内というデイメンションの中でこれ程違ったクルマができるとは。やはり60年代は面白い。

購入時には何用かわからないが(多分70年代の軽自動車)全く似合わない茶色いハイバックシートが付いていた。根無し草氏は苦労して部品取り車を探してシートを純正に戻した。ヘッドライトをシビエに変更。ホイルキャップは外してある。
最終型はテールレンズが角形に変更されナンバーがつり下げ式になった。リアのエンジンスリットの間の部分は本来ボデイ色ではなく黒塗装である。リアはかなりオーバーフェンダーになっているのがわかる。それにしても曲面を多用した何とも凝ったデザインだ。ボデイの作りも良くてドアの閉まりなんかスバルとは比べ物にならない。性能的には圧倒的にスバルの勝ちだが敢えてキャロルを選ぶ理由もよくわかる。後ろの窓にbook garegeのステッカーが貼ってあるが何故?
お遊びでゼッケンを貼ってレース仕様にしてみた。そこで私もお遊びで画像処理で車高を落としてみた。ううむ、格好良いぞお。60年代の軽はこんなモデイファイをしても様になるからつい入れ込んでしまう。