夏の暑い盛り。堅実氏は雑誌の個人売買で知り合ったビアンチオーナーと都内某所で待ち合わせた。お化けビアンチを見るなりオーナー氏は驚嘆の声をあげた。こんなに改造されたビアンチは初めて見たそうな。そりゃそうだ。
このリアクションを見て堅実氏は満足そうに深く頷いた。そりゃー、あんなに手をかけたんだから少しは驚いてもらわないとねえ。
そのオーナー氏のビアンチアバルトを見せてもらった。ほぼオリジナルの最終型。原型はこんなに慎ましやかだったかと驚く。
屋根に付くリアスポイラーはアバルト純正。今回堅実氏がゲットしたのも同型のスポイラーだ。なんと新品の箱入りだった。写真撮っておきゃ良かった。
少し試乗させてもらった。エンジンは乗りにくくない程度にクラシカルな振動と騒音をがなり立てて、ボデイは不快でない程度にユルくきしみ、決して遅くはないが、驚くほど速くもなく、いわゆるアバルトサウンドをかなでながら、ドライバーを存分に愉しませてくれた。
これが本来のビアンチの乗り味であり、一昔前のイタリアの小型車の持ち味なんだろう。そう言えば、ランチア・フルビアもアルファのジュリアも同じような印象がしたのを思い出した。