第2話 シュポルトなサルーン

真夏のある日、格安のアウデイがあるといつものM自動車から情報を入手した。我々、尻軽外車隊はすわ、次のニューアイテム登場かといきり立った。

しかも現車は珍しい5速マニュアルのシュポルトだという。しかもなんといってもプライスが魅力的だ。ここで数字を並べ立てるような、下卑た真似はする事は本意ではないので、私のE30と素とっかえできるくらいとだけ言っておこう。

80のシュポルトはボデイ色は黒しかなかったようだが、90シュポルトでは白なども存在する。92年以降のボンネットがグリル付きになった後期の80は現行型とイメージが似ているせいか、そう古さを感じさせない。元々のボデイデザインが秀逸なのだろう。

ダッシュボードは前方に奥行きがあり、ゆるやかにラウンドしている。フロントウインドウが傾斜している事もあって、このポジションは90年代以降のサルーンを彷彿させる。このクルマは88年式なのにアウデイって相当、進んでいたんですね。だって同年代のドイツ車と言えば、BMWはE30でしょ、ベンツ190でしょ。設計の新しさは歴然です。

シートはシュポルト独特のバケットタイプを装着。また、ダッシュ中央の本来物入れの場所に油温計など各種メーターを装備する。

現代では主流になったが、80年代のクルマにしては珍しくトランクはバンパー上部から開く。その為、使い勝手はすごぶるよろしい。こういう所にもアウデイの先取りした設計が伺える。92年のマイナーチェンジでシートが7対3で倒れるトランクスルーになり、トランク容量は更に増した。

写真を撮ってみるとやたら配線だらけに見えるエンジンルーム。実は、向かって右側にはかなり空きスペースがある。

試乗して見るとパワーはそれ程ではないがシュンシュンと軽快によく走る。やはりヨーロッパ車はマニュアルが一番だなあと思う。惜しむらくはパワステのフィールがイマイチで、なんというか、積極的に廻りたがらない挙動をする。ただ、これはタイヤの空気圧等、コンデイションが万全でなかった事も大きく影響しているだろう。

格安のアウデイを物色する根なし兄弟。乗って面白く、しかも格安だと、どんなクルマでも欲しくなってしまうのが根無し草たる所以である。

内装は黒とベージュのコントラストで品があってよろしい。質感も高く、同時代のBMWは負けてると思う。ちぇっ。

という事でアウデイは大変に良い!という事で我々尻軽外車隊の意見は一致。満足して帰宅した。って買わないのか?おい。

第3話 男気のコラード