さよおなら 愛しのSAAB900

夏も近づく八十八夜。相変わらずサーブのエアコンは熱風を吹き続ける。

いや、エアコンのガスは補充した筈だ。しかし1週間もたたない内にガスは抜け切ってしまった。サーブの主治医はほんの数万円で治りますよと私を励ましてくれる。しかし、勇者の血の成せる技だろうか、私は安定を良しとせず、再びあてのない冒険に旅立つべく、カーセンサーを紐解くのだった。(我ながら反省のない言い回しで恥ずかしい)


飛行機のコックピットを意識したという計器盤。

またもやダッシュボードにひび割れがあるのは激安外車のお約束である。悲しい。

グローブボックスのふたの内張りがはがれて丸いポッチが浮き出てくるのはサーブの持病、私のクルマはそれ程ひどくはなかった。樹脂の質感は悪くない。同年のイタフラ車よりははるかに上等だ。

サーブ96の流れを汲む異様なボンネットの開き方を紹介しよう。まず、ボンネットをバクンと持ち上げ、そのまま前方へせり出す。バンパー前までスライドさせたらおもむろに下へ落とし込むのだ。
うりゃああ、どうだああ。そこいらの国産車にはマネはできない。さすがはサーブだ。

激安外車中古を乗り継ぐ私なんですが、そのクルマの取り扱い説明書が付いてきたりすると、とてもハッピーな気分になります。

ダッシュボードにひび割れがあろうが、室内が煙草臭かろうが、ちょっとだけ、新車オーナーの気分に浸れるような気がするんです。(そこ、笑わないように)

写真はサーブ900の取説一式。シトロエンにも使われていた西武自動車の青い車検証入れが懐かしいです。

チンスポイラーのつかないノンターボの方が素朴で、たたずまいは好ましいと思う。メッキのホイルキャップもいい雰囲気だ。

グッバイ、サーブ。ホントはもっと乗りたかったよお。